初めまして。容疑者の掟上今日子です
「初めまして。容疑者の掟上今日子です」
(引用元:西尾維新著『掟上今日子の裏表紙』(講談社))
前回は怪盗で、今回の掟上今日子さんは「容疑者」である。
なので、警察で捕まってしまっている。
ぶっちゃけ容疑者に変わって推理したのは隠館厄介なのだ。
今日子さんはコスプレして本とか読んでた。
さすがに9作目なので、変化球を入れてきたのが今作であり、今までの主要キャラが結構登場する。
何よりも、これまで厄介(たまに親切)と警官で交互に語り部をやってきたが、今作ではこの2パターンが同時に行われる。
ここらで一旦総まとめ的なことをしたような小説ですね。
物語シリーズで言えば「終物語」あたりでしょうか。
警部と厄介がそれぞれのアプローチで事件への解決の糸口を見つけていき、ラストでそれらが合わさり事件が解決する。
途中で、今までのメインキャラである親切くんとか婚姻届の囲井都市子さんとかも出てくる。
なお、発端はこれまでの半数くらいでやってきた「記憶を失う」パターンである。
旅行記に続いてかなり早い段階でスヤスヤで失ってしまう。
というか、出てきた段階で失っている。
最初から失っているので、記憶があった今日子さんはそもそも登場しない。
記憶を失った状態で既に逮捕されて始まるので、始まりとしてはワクワクが止まらない展開ですね。
しかも罪状は「強盗殺人」。
強面過ぎてやってないことまで喋らせてしまう冤罪製造機、「日怠井警部」でも、「え?この守銭奴が殺人?詐欺とかそういうのじゃないの?」という感じである。
でも強盗なので、まあ守銭奴感は否めない。
だが、あの今日子さんが殺人など犯すのだろうか?
そして、人殺しといて、死体の横で狂気もってスヤスヤしてた現場は明らかに出来すぎていておかしい。
そんな「私が犯人ですよ」みたいな状況をあの名探偵が実行するだろうか?
そこで、日怠井警部は今日子さんの専門家に定評のある男「隠館厄介」を呼び出すのだった。
なお、いつも書いてる羽川さん要素は今回は特にない。
[okitegami]掟上今日子の裏表紙の今日子さんの強メンタル
留置場の今日子さんのメンタルがヤバい。
厄介とかはビビりちらしてる感があって、あれが正常な反応である。
アイツもおかしいが。
今日子さんにかかれば、以下も容易いのである。
- 普通にいつもの感じでファッションを楽しむ
- 警察のコスプレを楽しむ
- 警官をパシらせてお弁当買ってきてもらう
- 檻の中で読書する
- 檻のセキュリティぶっ壊して檻の中に入れないようにしちゃう
- 眠いから寝ようとする
- 人に推理させといて寝る
容疑者なのにやりたい放題である。
上記の状況のため、考えるのは警部で、現場検証は厄介、今日子さんは檻の中でくつろぐという今までにない感じになっている。
掟上今日子の裏表紙の日怠井警部の手のひらコロコロな不憫感
まず日怠井警部は今日子さんに心を開いてない。
マジ関わりたくない…と思ってのスタートだが、職務熱心なので社畜としての精神を優先している。
最初っからどう考えても今日子さんが犯人の状況で、何故か「私を雇ってもいいですよ?有料で」みたいな謎の上から目線をされてしまう。
いや、じゃあ雇わんわってなる状況だが、その真相を知らないと仕事ではない職務熱心さから、雇わざるを得ない状況にされてしまうのである。
手のひらでコロコロされてるやんけ。
挙げ句には気づいたら、独房でコスプレするわ弁当勝手に買ってこさせるわのやりたい放題まで許す方向へ…。
だが、厄介にのみ渡したダイイングメッセージについに日怠井警部がキレた!
キレたのに、別方向から調べて欲しいという今日子さんの言葉に再び手のひらコロコロである。
そう。今日子さんの手持ちで何故か名刺がない。
以前一緒に操作した時は持っていたはずの名刺がないのは何故なのか?
これは以前もらった名刺を持っている日怠井警部しかできない視点…。
掟上探偵事務所に今、独房で所長がくつろいでいる状況で、電話したらどうなるのか?
この行動により、半分の動機が明らかになるのである。
掟上今日子の裏表紙の親切守、再び
掟上探偵事務所に誰もいないかと言えば、そんなことはない。
実は掟上今日子の推薦文で職にありつけたあの男はまだ働いていた。
掟上探偵事務所のセキュリティを任されたボディーガード(特にボディーガードしてない)男、親切守である。
今まではそんな人物がいると言ってただけで、登場して普通に喋ったのは推薦文以来である。
日怠井警部から被疑者の男からの依頼内容を聞けるのはこの男しかないない。
今日子さんは記憶がリセットされてるが、もしかしたらこの男なら詳細を知っているのでは?
実際に知っていたが、そもそもあの秘密主義の所長の方針的に言ってくれないのでは?
実は名刺を持ってないのは探偵業務の依頼ではなかったのである。
被疑者は世界各国のコインを集める収集家である。
その整理の依頼を受けていただけ。
1回目は正式な依頼だが、2回目以降は金を取っていなかったのである。
あの守銭奴が!?
スタンドも月までぶっ飛ぶ衝撃を受けた日怠井警部だが…。
被疑者があの隠館厄介にあこがれていた、嫉妬していた事実を知り、真実に近づくことになる。
なお、この後親切くんはクビになるらしい。
クビになるまでが仕事とかわけのわからないことを言ってる模様。
前にもどっかの巻でも首にするとか今日子さんが言ってた記憶がある。
つまり、仕事すると首になって、リセットされた今日子さんに再雇用されるを繰り返してるんですかね?
めちゃくちゃな探偵事務所である。
掟上今日子の裏表紙の隠館厄介、相棒となる
隠館厄介は日怠井警部に冤罪をかけられた過去を持つ。
いつも通り不憫な男である。
しかし、冤罪のおかけで、今日子さんをよく知る人物「掟上今日子の専門家」として場に呼び出されたのである。
話が進むに連れて、イレギュラーだったはずの彼が、実は最重要人物であることが判明するのである。
被害者は見たことも聞いたこともない人物だった…。
だが、今日子さんに殺された疑惑の被害者は隠館厄介に敵意剥き出しだったらしい。
ライバル視されていたらしい。
なんで会ったこともない男に、嫉妬されなければいけないのか。
そもそもたまたま関わったこの事件の被害者がなんで厄介を知ってるのか?
被害者は事件でもないのに今日子さんを呼び出していた。
つまり、途中からそれが恋に変わってしまっていたのである。
しかし、記憶がリセットされる今日子さんとは毎回初対面で恋愛難易度が高すぎる。
その状況で「掟上今日子の相棒」が存在した。
それが隠館厄介という男なのである。
逆恨みや…。
ちょっと旅行記でベッド・イン疑惑があるだけだぞ?頃す。
そして今回、厄介は独房で電気椅子探偵とかわけわからんことを言ってくつろいでる掟上今日子に変わり推理をした。
昨日の今日子さんのダイイングメッセージに気づいた厄介はもはや主人公だね。
あのヒントでよく真相まで気づいたものである。
唯一真犯人までは暴けなかったが、今日子さんの無罪を見事証明したのである。
相棒の座はこの隠館厄介だァ!!
掟上今日子の裏表紙の感想まとめ!これは相棒が生まれるまでの物語
今回の話の発端は、親の七光りっぽい被疑者の家で、しかも「密室」でなぜ今日子さんが血まみれで凶器持ってスヤスヤ寝てたのかという疑問から始まる。
読者視点では結論は最初から出ている。
今日子さんは『無実』という結論はもうわかっている。
じゃあこの状況はなんなのかというのを明かしていくのがメインどころなわけです。
その解き明かし方が、今作の面白いところかと想いますね。
今日子さんはうまく、日怠井警部を使って、今日子さんは「なんの依頼」で被疑者のもとに訪れていたのか。
そもそも警察も持ってない被疑者の情報はなんのかを調べるのである。
対して、厄介には現場を見てもらう。
記憶を失う前の昨日の今日子さんが、今日の今日子さんに送ったダイイングメッセージ。
それがなんなのかを現場を見ることで知る。
2つの情報が合わさることで事件の真相が明らかになるって展開です。
日怠井警部が、以前今日子さんと仕事をしたことから、本来持ってないと行けないものを所持してなかった今日子さんに疑問を持つ。
そこで、親切くんの登場機会が得られ、被疑者の悲しい過去が判明する。
ユーロを今日子さんが持っていたことに疑念を抱くのは、厄介にしかできない。
たしかに旅行記でヨーロッパに行ったが、今日子さんがそんな過去がわかるような所持品を持っていたことがおかしい。
これが今日子さんの専門家かつ「相棒」要素となる。
ぶっちゃけると真犯人が拍子抜けではあったが、記憶がない今日子さんに対して「相棒」が生まれる展開として、その総決算みたいな話かなぁと想いました。
実際に次巻から本当に相棒になるのかは置いておいて。
なお、この巻だけ、表面が囚人コスプレの今日子さん。
裏面がポリスコスプレの今日子さんとカバーが二重に楽しめるようになっている。
僕はポリスのほうが好きです。
掟上今日子の裏表紙から見る羽川翼の疑惑要素
今回は今までで一番特にない。
- 23日どころか何年も檻の中で過ごしたことがある?
これは日怠井警部の疑問であるが、たしかに逮捕されてやりたい放題がすぎる。
過去に警察ではなく、何者かに捕まったとかあるのではないか?
例えば「業物語」では幽閉されていて、ドラマツルギーと脱出するみたいな話がある。
この時点で捕まってるので、本能的に捕まり馴れてるのではないか。
吸血鬼関連で捕まるよりは、無期懲役になりそうな状況なんて寛げる気がする。