「鑑定する今日子さん」ネタバレ感想
大学を卒業して大手警備会社に就職した親切守。
2巻目は彼が主人公のように物語が進み、とある美術館で警備を行っていたことで3話に渡る事件に巻き込まれることになる。
この美術館に来た3人が彼を首にするのである。
一人目はいつもひとつの絵を一時間もかけてじっくりと眺めていく女性。
まあ掟上今日子さんである。
毎日飽きもせず眺めてる絵が気になってしょうがない親切くんは、こんな絵の何がどう素晴らしいのかご教授頂こうとしてしまった。
そして彼女はこう答える。
2億円の価値があるから
(引用元:西尾維新著『掟上今日子の推薦文』(講談社))
二億円の絵とは恐れ入るが、とある日今日子さんは「ほーん」みたいな感じで一瞥して通り過ぎてしまった。
それまで2億円の絵最高!ヒュー!という感じだった今日子さんに何があったのか。
しかし、聞いてみると「2億円なわけないじゃん。精々200万くらいじゃないの?」という全然言っていることが変わってしまっていた。
なぜ、2億円から200万に価値が暴落したのか。
仮想通貨とかFXもびっくりの下落である。
この理由こそがこの話の肝となるのである。
なお、掟上今日子さんは1日しか記憶が持たないことを親切くんはまだ知らない。
さらに二人目の特徴的な客、「剝井陸」は10際の画家の卵の少年だった。
美術館で堂々と鉛筆で模写を完ぺきにこなす少年を咎めるべきか否か迷う親切くん。
だが、別に写真を撮ってないし客も少ないので問題はないはずである。
そして彼はこの絵のタイトル「母」の意味を知る。
この絵は地球を表現していたのである。
地球を構成する色で描かれたその絵を黒だけで模写する剝井くんだが、彼は色がついた絵がきしょいと思うタイプの人間だった。
この事実が後のキーワードになるのである。
最後に和久井という爺さんが登場し、親切くんを首にすることになるのである。
例の絵を見ると逆鱗に触れてしまった爺さんは杖で絵を額縁ごと破壊してしまったのだ。
しかし、この時にこの絵の値段を0円と答え、首になっても事実を受け入れた親切くんはさらに問題に巻き込まれることになる。
この3人との出会いによる、「母」に纏わる奇妙な出来事。
退職金で掟上今日子さんに依頼した親切は2億円の絵画が200万に下落された事実を知ることになる。
僕としては、あのガキにこの絵が2億円から200万円の絵にすり替えられて、作者の爺さんが怒ったんやろなぁと思ったのですが、全然違った。
この絵が二億の価値を持ったのは絵の価値ではなかったのである。
和久井の爺さんは絵で有名なのではなく、絵を納めているモノで有名だったのだ。
要は「額縁」にそれだけの価値があったらしい。
しかし、この絵に合わせて作られた額縁が美術館側の「他の絵に使ったろ!」という浅はかな考えで変わっていたので怒ったのである。
この著名な額縁匠である和久井の爺さんの依頼が次の話になるわけである。
確かに、僕もジョジョの複製原画とか額縁あっての4万円で買ったところがあるからなぁ。
額縁の素晴らしさはなんとなくわかる。
「推定する今日子さん」ネタバレ感想
YOUはムショック!無職に覚醒した親切くん。
隠館厄介くんとパターンが被ってる。
そんな親切くんが厄介と違うのは、仕事が降って湧いてきたところである。
和久井の爺さんから警備のしごとの依頼が来たのである。
1話は前哨戦で、この2話はプロローグだった。
この警備の仕事が親切くんにとって最難な事件に巻き込んでいくことになる。
アトリエ荘に来いッ!
なんとタワマンだった。名前負けしてるこのマンションの地下が爺さんの仕事場である。
そして、爺さんはこのマンションのオーナー。
ここまではなんとなく予想がついたが、このタワマンの住人は全員家賃タダなのである。
かつて芸術家を志しながらも諦めて額縁匠となった爺さんは、額縁と絵は表裏一体ということで、芸術家の卵を無料で入居させ芸術に還元していたのである。
どんだけ金持ってんだ。
そして、爺さんは今までの人生の集大成といえる額縁を作成したいがため、警備をお願いしたいのだ!
しかし、週6警備では風邪とか惹いたら詰む。
なので、親切くんはもうひとり追加させてもらうことにした。
しかし、掟上今日子は期間が半年の仕事なんて、記憶がなくなる自分には無理とお断りである。
だが、警備の穴になりそうなところを探してくれるという。
しかし、二人が爺さんの仕事場を訪れると、そこにはナイフで刺された爺さんが!
今日子さんの尋常じゃない手際の良さの応急処置で一命をとりとめた爺さん。
しかし、彼女はこう語る
「犯人はこの中にいる」。
(引用元:西尾維新著『掟上今日子の推薦文』(講談社))
この時点で今日子さんは犯人に目星をつけていたことが後に明らかになるが、タワマンの住人が犯人なのである。
ここにきて、コナン君のような事件がようやく発生したのだった。
「推薦する今日子さん」ネタバレ感想
タワマン住人は芸術家の卵であり、爺さんの顔見知りである。
ダイイングメッセージとまでは言わなくても何か、犯人を特定できそうな何かを残して然るべきと推理する今日子さん。
つまり、爺さんの顔見知りであり、犯人を庇おうとしたと予想したのである。
前作でも小説を全巻読むという泥臭い作業をしていたが、今回もタワマンの住人全員に聞き込みである。
なお、2話目でエレベーターが使えなくなっていたのがトリックに違いないと思っていたら、なんてことはない。
点検であった。
さらに2話目でたまたま親切くんとばったり出会った、剝井くんもこのマンションの住人であり、高層階に住居を構えていた。
彼との話が事件の真相を解き明かすキーとなることになる。
爺さんが制作しようとしていた額縁の発注伝票は明らかにおかしかった。
額縁1つどころではない大量の材料が発注されていた。
額縁に入れる絵をマンション中の画家の卵たちに依頼していた爺さんだったが、明らかにその中から一人を選んで額縁を作るとかそういう発注量ではない。
さらにその中から、剝井くんは外されていた。
剝井くんは大量の作品を作らせて、どれかから本命を選ぶようなクソのようなことをした爺さんに怒って刺すような奴はマンションにおるやろなぁという見解だった。
そして、剝井くんは掟上今日子の正体描いてやると絵を書き出す。
しかし、今日子さんの「全員が本命なのでは?」という言葉に激怒してしまい、追い出されてしまったのである。
他には18階の階段で血痕らしきものを見つけた二人は全戸訪問を終えていた。
剝井くんの部屋に、絵が完成しただろうということで向かった今日子さんは何故か30分以上たっても戻って来ない…。
気になって急いだ親切が見つけたのは、階段で気を失っている今日子さんだった。
つ、つまりもうページもないのに記憶はリセットされたのか!?
誰お前という感じの今日子さんだったが、剝井くんとばったり会ってしまう。
しかし、剝井くんは「先生刺したのオレだから」といって警察に自首しに行くのだった。
まあぶっちゃけ剝井くん以外の住人の名前すら出てこなかったので、剝井くんだとは思っていたが…。
実は記憶を失ったふりをしていた今日子さんは真相を明かしだす。
- ナイフの刺された位置と角度から大人ではなく子供と判断していた
- 小さい人は10歳の剝井くんだけだった
この時点で今日子さんは剝井くんに目星をつけていたが、親切くんには黙っていた。
無理やり自首するのではなく、犯行を知っている人は誰もいないという状況で自らの意思で自首させたいというのが今日子さんの目的だった。
なので、気絶する(フリをした)ことで犯行を知っている人が誰も居ない状況で自首させたのである。
そして、和久井の爺さんは大量の額縁の材料で巨大なモザイクアートを作ろうとしていたのである。
剝井くんは黒でしか書けないので参加できなかった。
このことを知った剝井くんは自首を決意したというわけだった。
ちゃんと1話から伏線は張られてたんですねぇ。
掟上今日子の推薦文のオチ
警備の仕事がなくなり立派な無職と覚醒した親切だったが、彼に朗報が。
何故か記憶がないはずの今日子さんから彼に電話がかかってきたのである。
警備員として掟上事務所で雇用したいという申し出であった。
ここでこの小説のタイトル回収である。
彼女は「推薦されたから」親切を雇いたいらしい。
推薦したのは掟上今日子であった。
つまり掟上今日子の推薦文であり、自分自身に置手紙を残していたのだった。
掟上今日子の推薦文から見る羽川翼の疑惑要素
今回もこじつけてるところはありますが、羽川翼なんじゃね?と思い込んだ感じで書いてみます。
- エスプレッソダブルを砂糖なしで飲む今日子さん
「砂糖もミルクもいりません」とエスプレッソまでブラックで飲む今日子さん。
羽川翼は味がわからない設定が猫物語白で明らかになっている。
彼女がカフェラテのようにエスプレッソブラックを飲むところは羽川さんに共通している気がする。 - いつも服が変わらないのであれば不変の価値
羽川翼は忍野メメにすら化け物と言われるほどの不変の存在だった。
着ている服でイメチェンを計っているという文がそんざいすることもあり…
掟上今日子になったことでイメチェンを計っていると示唆しているようにも見える。 - 即興で担架を作る今日子さん
和久井の爺さんを救命するため、即興で担架まで作ってしまう今日子さん。
人命救助の知識が豊富すぎることも怪しい。
羽川翼は高校卒業後に紛争地帯のNGOで働いていたことがある。
この経験までは記憶として残っているならばこの手際の良さも納得といえる。 - 即興で服を自作する今日子さん
最後はバラバラになってパンティとか見えてたが、即興で服をバラして別の服を作るなんてできるだろうか?
なんでもは知らないが知ってることだけの中にその知識があったとしか思えない。
そもそも10代くらいまでの知識でこんなことできるのは羽川さんくらいしか思いつかない。 - 羽川さんの大の子供好き要素
羽川さんは八九寺や阿良々木シスターズへお対応からわかるように子供好きである。
剝井くんを見て「かわいい」と言った今日子的に子供好きである可能性がある。 - 剝井陸が書いた掟上今日子の絵に対する親切守の感想
「黒くて、白くて―――正体不明なところがいい」
親切くんの感想だが、これは正体へのヒントにも見える。
猫物語(黒)と猫物語(白)からもわかるように羽川さんは白と黒がモチーフである。
正体不明の掟上今日子さんのルーツは白と黒と示唆しているように見える。 - 身軽な白猫よろしく―
「身軽な白猫よろしく、どう転んでも報われるようになってるのかもしれない」
これが親切くんの最後の感想である。
ついに白猫扱いしてしまった。
報われてるか?という疑問はあるがこれも羽川さんを示唆しているように見える。
なんかここまで行くと、特に後半の思わせぶりなワードが、羽川が正体と見せかけて全然違うという嫌がらせにすら見えてくるんだが。