ドルチは荒木先生が愛猫と遭難したら人間の本性はこうなるだろうと考えた問題作である
A wrecked yacht in the midst of the ocean –
(海の真っ只中にある難破したヨット)
This odd and extreme situation has started to deprive a man and his cat of their sanity…
(この奇妙で極端な状況は、男と彼の猫の正気を奪い始めた…)(引用元:荒木飛呂彦著 死刑執行中脱獄進行中「ドルチ~ダイ・ハード・ザ・キャット~」)
さりげなく書いてある英文から始まるのは荒木先生の作品ではめずらしい。
むしろこのドルチだけなんじゃあないだろうか。
普通遭難するってのは人間だけなもんだが、この短編では「猫」がいる。
意外と猫も遭難するのは珍しい気がするんだけど、これを書いた経緯は以下である。
あとがきで荒木先生はこんな風に語っていた。
猫好きの編集担当者が「猫は心の希望」と言ってきたらしい。
僕のような凡人だったら「ほーん。猫はかわいいからね。完」で終わらせてしまう。
でも荒木先生はこう返した。
「でも、アンデスの山中で遭難したら、食べちゃうよ、きっと」
やはりさすがというべきか、こんなやり取りでこんな感想を持って作品をひとつ書き上げてしまう荒木先生すげーンだわ。
[jojolandsheader]ドルチ~ダイ・ハード・ザ・キャット~の登場人物紹介と名言・セリフ集
イギーの猫バージョン「ドルチ」
元々ドブに捨てられていたところを拾われ育てられた本名ドブチである。
ヨットで彼女と出航した際になんか連れてこられたのだが、事故って彼女は死亡。
ドルチはこの極限状態で服やブーツを作って着せてもらったり仲良しだったが、遭難という極限状態で飼い主と死闘を繰り広げることになった。
最後にいきなりドラえもんみたいに喋りだした。
ドッピオ並みの唐突なイカれっぷりを発揮する飼い主「愛子雅吾」
僕は悪くないがモットーであるが、遭難という極限状態で本性を表し、愛猫にまでそのイカれっぷりを発揮して食おうとしてきた。
このヘタレからキチ○イへの豹変ぶりからヴィネガー・ドッピオくんに近いものを感じる。
僕はこの愛子という名前からコイツが嫌いである。
管理人は昔、嫁のおばあちゃんの葬式に出席するために仙台まで一人でいって、仙石線で松島に行こうとして仙山線で真逆の愛子駅まで行って遭難し、嫁にガチギレされるという極限状態に追い詰められた記憶があるからである。くそが。
雅吾の彼女アイだっけ…?マイ…?
しかも雅吾が名前を思い出そうとしてもアイだかマイだかわからなくなり曖昧だった。
さらに気づいたらサメに死体は食われてしまった。
雅吾的には後で食おうと思ってたらしい。今回一番の被害者すぎる。
ドルチ~ダイ・ハード・ザ・キャット~のあらすじ 遭難ってやべーな。
クルージング中に遭難しててしまった男は、暇つぶしに一緒に来た猫の服とか作ってあげたりしてた。
良い飼い主だなぁ!
そんななか、愛猫のドルチがヨットの中のソファから飴玉を発見したことから雲行きが変わる。
雅吾とドルチのチキチキ飴玉ゲットちんちろバトル勃発ッ!!
「サイコロ2個を振って、大きい出目を出した方が飴玉を食べられる」という勝負の条件を猫に出すクソ飼い主へと変貌を遂げたのだった。
しかも負けてた。何だコイツ。
さらに敗北を知った上飴玉を食おうとする雅吾。
だが、ドルチに食われてしまった。すでに猫に2連敗である。
ブチギレた雅吾はドブに捨ててあったブチ猫だからドブチって名前なんだよッ!てめーはッ!と「ドブチ」と罵りながらドルチに襲いかかる!
ど畜生が!とか言ってるので完全にヴァニラ・アイスくらいキレてるやべえやつへと変貌を遂げたのだった。
さらにその過程で割れたヨットの窓ガラスの破片で腕を負傷。流れ出る血を美味しそうになめ始めたのだった。
もうおしまいだよこの飼い主。
さらに周りにはサメが大量発生しており、彼女(死体)もいつの間にか食われてる…。
これは恐怖ですぞ!と思ったが雅吾は彼女をもう食えねえことにエシディシ並に悲しむのだった。
実は彼女を溺れ死なせたのは他でもない雅吾本人で、その理由も無線が直らなかった場合の非常食にする為だったという魂胆だった。
こいつ歴代ジョジョキャラの中でもかなり上位にヤベエやつなんじゃ…。
頭のイカれた雅吾は彼女がいなくなったのはドルチに構っていたからだという理由でドルチを逆恨みし、今度は彼を殺して食べようとするッ!
ここから根比べバトルが勃発!
「仲直り用」と称して冒頭でドルチが飲んでいた水のボトルを片手にドルチにマストから下りてくるよう要求する雅吾に対して、明らかにキチった雅吾のもとにマストから降りてこようとしないのであった。
しかしドルチも彼の考えに既に気付いており、降りてこようとしない。
しばらく睨み合う両者。
痺れを切らして激昂したのは雅吾の方で、隠していたナイフを持ってマストを伝って自分から彼の方に行こうとするが、ドルチより遥かに体重のある雅吾がマストに寄る事で船はさらに傾く。もし海から落ちればそこはサメの群れ。
つい寝てしまったドルチだったが、雅吾がいない!?
マリオ・ズッケェロさん戦みたな展開に焦る猫だったが…よく見ると奥の方にナイフを持った雅吾の手が見え、近くには水が置いてある。
ここで手前のヨットの部屋の窓からいきなり雅吾が現れてドルチの首にロープをかけた!?
実は雅吾の手は自分の左手の指を切り落としてナイフを持っているように見せかけるためのフェイクだったのだ!
2連続で平然と指を切り落とす凄みを見せるなよ…。
オレは遭難してもこんなイルーゾォでも必死になった覚悟はない。
そしてついに覚醒する雅吾はテンションが上りすぎて最高にハイな吸血鬼みたいにWRYYYYYYYHAAAAAAAA~ KYYYYYYYYYYYと雄叫びをあげて勝利を確信するのだった。
だが相手が勝ち誇ったときスデに敗北していた。
「そんなに……まで……オレを食いたいのなら…… もっと食わしてやるぜ………」
(引用元:荒木飛呂彦著 死刑執行中脱獄進行中「ドルチ~ダイ・ハード・ザ・キャット~」)
シャベッタアアア!!
突如言葉を喋ったドルチは逆に自分から彼の口の中に飛び込み、喉の方へと入っていき、爪で彼の喉を切り裂いて脱出。
飼い猫を飲み込んでくたばりやがれ…。
そして今頃救助隊のヘリコプターがご登場。
しかし搭乗員は空中からヨットを発見できず、本日の捜索を終了してだが帰る!
そんな所、搭乗員は見た。猫が海鳥にまたがる事で海を渡っている衝撃的な光景を!
完
ドルチ~ダイ・ハード・ザ・キャット~の感想 ドルチがなんで喋ったのかはよくわからん
ドルチはなんで喋ったのか?
ってところに目が行きがちだが、主人公が遭難した猫で敵が遭難して気が触れた飼い主という展開のオチとしてはインパクトあっていいと思った。
猫独特の価値観と目的、美意識を持ち、人には適度に媚びている。
しかし、さすが荒木先生が書く主人公。
覚悟が違う。イギーのような凄みの猫が主人公なので面白い。
あまりにも飼い主がどうしようもねえバカ野郎に成り下がってしまい、呆れ果ててつい喋っちゃったんやろなぁ。
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