ジョジョ4部後日談The Bookネタバレ感想!ザ・ブックのあらすじから蓮見琢馬の人生を振り返ろう!

       

The Bookはジョジョのスタンドだからハードカバーで読んだ方がいい

きみはこんな気分をあじわったことがないか?
よくできた漫画や小説を読んだとき、登場人物の痛みが、自分のことのように感じられるんだ。
(引用元:乙一著『“The Book”jojo’s bizarre adventure 4th another day』(集英社))

これはこの小説における作中の岸辺露伴のセリフなんですが、まさにこの小説なんですよね。
このブログを始めて、ほぼ全部ジョジョ小説の感想書いてるのに(THE BOOKの前の小説は書いてない)10年以上も感想を書くのをスルーしてたのはまさにこれなんだよ。

飛来明里の悲惨さが生々しすぎるし、大神照彦の吐き気を催す邪悪っぷりがエグい。
これは恥パにもDIO日記にも、あとなんかもう一つのジョージなんとかスターでもこれほどまでのエグさはなかった。
ある意味最後のは違う意味でエグかったけどね!
これによって、まさに「よくできた漫画や小説を読んだとき、登場人物の痛みが、自分のことのように感じられた」経験が残ってしまった。

読み返したいと思っても何かがオレを止める…。
そんな状況だったのですが、まぁ、さすがに10年以上読んでないし、そこまでじゃなかったやろ。
なんとなく流れ覚えてるし!って思って読んだらやっぱり鬱だ死のう…大神照彦死ね。氏ねじゃなくて死ねとなったわけである。

つまり、逆を返すとこの「The Book」のヤバイところは、まさに読者がThe Bookのスタンド攻撃を食らってるような感じになるのである。
もはやこの小説はただの小説ではない。
スタンドだ。

そもそもハードカバー版のThe Bookがこの話に出てくるスタンド「ザ・ブック」まんまなのである。

[jojonovel]

The Bookのあらすじを登場人物紹介から見てみよう

The Bookの主人公「蓮見琢馬」とは

ぶどうヶ丘高校の2年生で仗助たちのパイセンである。今作の主人公的存在。
右耳だけにイヤリングをつけて胸ポケットになきむしぼうやからもらった万年筆を差しているのが特徴である。

彼は、赤ん坊のときに身元不明の子供として保護されており、中学を卒業するまでは施設で暮らしていた。
名前は、保護された乳児院の住所「蓮見」地区と、右肩にあった「馬のような形の痣」から命名されている。
そして、あらゆることを見聞きしたそのままに記憶できる特殊な力を持っていた。
後に、この「スタンド」は本として具現化され、ザハンドをパクって「ザ・ブック」と名付けられる。

ザ・ブックは彼の記憶である、本に書かれた記述を人に見せることで、相手にもその記憶を体験させることができる。
基本的に、危険なページである「禁止区域」を人に見せて攻撃する。
射程は30メートル程だが、2メートル位の距離で明るい場所でないと効果を発揮できない。
また、目が見えなかったり、日本語が読めない対象には効果がないのでジョンガリAとかグッチョ(外国人)とかには効かない。

一方で、「腕に爪の傷跡がある男子学生」という仗助たちが追う殺人犯。
しかし、康一たちが追っている殺人事件は母親を殺した父親への復讐のための一貫だった。
彼の本当の人生は父親を殺した時に始まる。
ある意味、億泰に向かってバカにしていた虹村形兆と同じような人生を送っているとも言える。

The Bookの「飛来明里」とは

今作のもう一人の主人公的存在。
大神照彦の恋人として登場するが、彼に最悪の人生を負わされ、その生涯を悲惨に終えることになる女性。
5000万という大金を大神照彦が隠し持っていたことを知った彼女は、違法建築の欠陥住宅を売っていた事実を知ってしまう。

そのことがきっかけで大神照彦にビルの隙間に突き落とされてしまい、そこで幽閉されてしまう。
金のありかを言えば助かると言われても彼女は応じなかった。
逃げれば親を殺される極限状態で生き抜いていたが、妊娠が発覚し独りの男児を産むこととなる。

そして彼女は男児の命と引換えに金の在り処をゴミ野郎に教え、そのまま衰弱死することになる。
その事実は彼女の子どもに、スタンド能力のおかげで体験しており、記録されていた。
今、息子による父親への復讐劇が始まる。

The Bookの「双葉千帆」とは

今作のヒロイン的存在。
過去に不良から助けてもらった過去から、助けてくれた人物を探していた。
明らかに蓮見琢馬なので好き好き攻撃をしている。
後に二人は結ばれることになるが、蓮見琢馬の過去と彼女と彼の自身の血統の因縁により悲惨な末路を迎えることになる。

The Bookの「大神照彦」とは

今作の吐き気を催す邪悪であり、こんなもんで済ませるんじゃねえこのカスを許すな!と読者に思わせるど畜生のカス。
欠陥住宅を売って荒稼ぎしていたが、恋人の飛来明里にバレてしまい、彼女を地獄に突き落とした。

彼女が見つからなかった理由は、彼のスタンド能力に有る。
メモリー・オブ・ジェット(黒い琥珀の記憶)は、飛来明里とヨーロッパ旅行にいった際に骨董屋に入った時にそこに偶然あった石の「矢」で怪我をしたときに発現していた。
気づいたのは飛来明里が何故か見つからなかったからである。

彼のスタンド能力は自身の指定した領域に誰も侵入させなくする能力である。
これにより、飛来明里は何ヶ月もみつからずにすんだ。
彼女の息子、こと自分の息子にも使用しようとしたが、時すでにお寿司。
事実を知ったと思われる、彼の溺愛する娘により殺される末路を送ったのである。

ざまあ!!このままゴールドエクスペリエンスレクイエムを叩き込め!

The Bookの「東方仗助」

オレがこの街を守りますよという最強の甥との約束もあり、吉良吉影事件後も町を守り続けるヤベー髪型の男。
今回は主人公的立ち位置が蓮見琢磨なため、むしろ「ラスボス」である。

康一の情報(主に露伴情報だが仲が悪いからこの小説では会わない)により殺人犯を追うことになる仗助。
しかし、犯人にとってあまりにも邪魔なため、The Bookの能力で始末されそうになってしまう。
だが、攻撃されたのは彼の母親、東方朋子であった。

母親を殺されかけた仗助は尋常じゃなくブチギレてしまう。
過去の恩人の件まで巻き込んだ、犯人「蓮見琢磨」との死闘が今始まる!

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The Bookの「虹村億泰」

東方仗助の前に蓮見琢磨の前に立ちふさがる強敵、今作では中ボスの役割を果たしている。
ザハンドって怖い。本当にそう思わされる図書館での死闘が描かれる。

しかし、図書館バトルでは結構頭がいいのだが、それは経験からくるものだったらしい。
今作では学校でどのくらい億泰がアホの億泰なのかが判明する。
期末試験の結果は学校がはじまって以来の歴史的不毛の大地だったらしく、進級が危ぶまれているのである。

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The Bookの「広瀬康一」

岸辺露伴と共に血のついた猫に遭遇し、猫を追った先に家の中なのに車に轢かれたように死んでいた奇妙な死体を発見することで物語が始まる。
その後、露伴のスタンド「ヘブンズドアー」で目撃者である猫「トリニータ」の記憶からわかった犯人、「腕に赤い爪痕のある男子学生」を探すことになる。

「腕に赤い爪痕のある男子学生」を探す際に、エコーズACT2で「ジリジリ」の擬音で服を脱がして確認するところ好き。
なお、ACT3は出てこない。

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The Bookの「岸辺露伴」

出だしから猫への復讐という4部の頃の露伴っぽさで、岸辺露伴は動かないとかジョジョランズのイケメンっぷりがない陰湿さを発揮する岸辺露伴先生。
しかし、この直後に広瀬康一と共に共に血のついた猫に遭遇することになる。
猫を追った先に家の中なのに車に轢かれたように死んでいた奇妙な死体を発見する露伴。
ヘブンズドアーとかいうチートでその犯人の特徴を暴きまくる露伴先生だが…彼の今作の凄まじさはそこではない。

名探偵なのである。
なぜ部屋の中で車に轢かれたように死んでいたのか?
これはスタンドであるところくらいまでは仗助とかでもわかるだろう。

即死させずに出血多量で始末したのは何故なのか?
車高より大分高い位置でひかれていたのは何故なのか?

そこから導き出される答えは、犯人は「自分の記憶」を体験させることしか出来ず、事故の体験は「子供の頃」だったから奇妙な位置で轢かれていたと全て理解してしまったのである。
ピンクダークの少年って探偵漫画なの?

ただ、気に食わないのは何故か露伴の一人称が「僕」じゃなくて「私」なところである。
下手したらこの小説で唯一気に入らないのはここだけかもしれない。

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The Bookの「織笠 花恵」

大神照彦と関係を持っていた女性で飛来明里に大神の悪事を教えたある意味、戦犯である。
彼女が自宅であたかも車に轢かれたような状態で死亡しているのを露伴と康一に発見されたことから物語が始まる。
犯人である蓮見琢磨のことを探していたらしい。
子供が産めない体になった過去があり、彼を育てようとしてたフシがあるが、理由は不明。

むしろそのせいで大神照彦への復讐の障害になると蓮見琢磨に判断されて始末された。

The Bookの「山岸由花子」

広瀬康一の彼女であり、未だに交際は続いている。
康一のために犯人探しの手助けをしてくれた。

実は双葉千帆の家の近くに住んでおり、彼女の家が火事になってる中、特に慌てることもなく康一と電話してた。
なお、テスト勉強を康一としているが、以前のように監禁とかはしてない。
が、康一はトラウマからか完全に彼女に従っており、無事進級できた。

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The Bookの「トニオ・トラサルディー」

蓮見琢磨が風邪になったため千帆に連れてこられたレストランの店主。
風邪と千帆の肩こりを治すことに成功したが、蓮見琢磨はスタンド能力とは気づいていない。
入院した億泰のインフルエンザも直してあげてほしい。

The Bookの「東方朋子」

蓮見琢磨により、邪魔になった仗助の代わりに殺されかけた。
これにより仗助は完全に蓮見琢磨を敵意むき出しで顔面をギャグ漫画みたいにしてやることを決意する。

The Bookの「茨の館にあるうめき声をあげる「奇妙な本」」

杜王町にある図書館で、北海道札幌市の赤れんが庁舎に似た三階建ての古い洋館である。
この場所がこの小説の鍵となる場所となる。
蓮見琢磨と双葉千帆がちちくりあってるだけでなく、康一の地獄のプッツン由花子試験勉強教室が開催されたり、恐怖の虹村億泰のザハンド体験場となっている。

なお、うめき声をあげる「奇妙な本」が話題となっている。
どう考えてもエニグマとか使うやつである。
あいつここにいたのか。

TheBookは飛来明里の悲惨さで辛い

飛来明里の悲惨さは本当にすごい。
ジョジョ本編でも悲惨なキャラは数多く存在する。

ポルナレフとかかなり蓮見琢馬に近い気はする。
親族への復讐に生きたところとか似てる。
彼の場合はその先があり、蓮見琢馬は復讐を遂げて終わったところが違う感じか。

でも飛来明里の悲惨さはおそらく悲惨なキャラが多いジョジョでもここまで生々しい悲惨さを表されたキャラはいない。
おそらく、これは乙一先生の表現力と文章力のせいである。
多分結果だけ見ると同じくらい悲惨なキャラは多分いると思う。
ディアボロとかアンジェロとか宮本輝之助とかカーズとかは飛来明里を遥かに上回る悲惨さのはず。

でも、上記のキャラの話は下手したら10回くらい見てる。
だが、飛来明里の悲惨さは2回目だし、小説だからとかそういう理由を超越する悲惨さなのである。

愛してた男にビルの隙間に落とされて、何ヶ月も幽閉し飼われる。
やっと救いの猫が来たと思ったら大神の罠。
しかもそのクソ野郎の子供を妊娠してる始末。
意地でも金の場所を言わない覚悟は「子供」が出来たことによる「母性」に敗北。
そして、子供の命と引換えに自分は孤独に12年も誰にも発見されずにその障害を終える。

この小説の半分くらいはこの「飛来明里の悲惨さ」で構成されているのである。
今ざっくり一覧にしたけど、この内容を100ページ以上書かれたら精神的に嫌悪感が半端じゃあないぜ!

TheBookの大神照彦の吐き気を催す邪悪っぷりが嫌悪感すごい

ジョジョに出てくる敵キャラは本当にクズである。
ディオもクズだし、カーズも吉良もディアボロもプッチも大統領も透龍もクズ。
ただ、ちょっといいところあるじゃんってところも彼らはたまにあるのだ。

いや、待てよディアボロはマジでない気がするわ。
そりゃあブチャラティも吐き気を催す邪悪扱いですわ。

大神照彦もいいところあるじゃんというシーンは存在する。
だが、こいつはそんなところですら吐き気を催すほどに邪悪なのである。

普通ビルとビルの間に、それなりに愛し合ってた女を永久に閉じ込めて生かし続けるとかできないわ。
良心とかないのか。
ジョジョリオンで羽 伴毅に康穂と密葉が「このクズ野郎ーーーーッ!!」って言ってたがまさにそんな感じ。

それどころか、妊娠が発覚して自分の子供ができてることが発覚しても(はなほじ)って感じだった。
さらに、自分でやっといてこの言いぐさである。

  • 「うわ!なんて汚え姿だ。本当に人間かね?」
  • 「私が君の両親にきっと生きてますよとか言ったら泣いて喜んでた。ウケる」
  • 「っていうかお前の母ちゃんの手汚くてワロタ」

挙句の果てには、娘の彼氏に向かってこれである。

  • 「昔飼ってた泥だらけの小汚い犬みたいなヤツが見つからなくてラッキー!」

吉良吉影は殺人鬼だが、ある意味吉良よりエグい。

しかし、実の娘には優しいビーフシチュー作ってくれるパパで十年以上貫き通す。
これは、世間的にはいいパパで貫いている。
まさに、吉良吉影に匹敵する日常に潜む悪魔がまさに杜王町に存在したわけなのである。

TheBookにおいて蓮見琢馬は悪だったのか?

蓮見琢馬は織笠 花恵を自身のスタンド能力で始末してしまったことから、町を守ると決めている仗助達に追われることになる。
だが、この小説を読んでいるとどっちが「敵」なのかわからなくなってしまう。
ジョジョ4部本編であれだけ黄金の精神を見せて「巨悪」である吉良吉影を倒した仗助が敵に見えてきてしまう。

SBRで「物事の片方の面だけを見るのはやめろ」と大統領が言ってたが、まさにそんな感じのことを仗助に言いたくなるし、読んでる僕自信がそう思わされてしまう。

蓮見琢馬は前述した母親「飛来明里の悲惨さ」と「大神照彦の吐き気を催す邪悪っぷり」を知っている。
それどころか、母親の亡骸を拾いに凄惨な現場にも行っている。
この状況で父親こと大神照彦への復讐を決意するなと言うほうが無理がある。

仗助も完全に琢馬にブチギレたのは、母親が殺されかけたからである。
ぶっちゃけ理由をちゃんと言えば蓮見琢馬は死なずに済んだだろう。
吉良吉影みたいな邪悪とは明らかに蓮見琢馬は違うのである。

だが、何も知らない妹で自分を愛してる「双葉 千帆」を巻き込んで利用したのは、「何も知ら無知なるものをてめーの都合で利用する吐き気を催す悪」でもある。
しかし、この小説は「The Book」であり、琢馬のスタンドも「The Book」である。
彼が一人称のときは自分の気持が書き込まれて誤魔化せない。
罪悪感を感じてる時点で少なくとも吐き気を催す邪悪ではなかったんだろう。

なので、仗助もあそこまでガチギレしておいて、最後は琢馬を助けようとしたのである。

もし、蓮見琢馬と岸辺露伴が出会っていて、記憶を読まれていたら…情状酌量の余地は十分にあったと思う。
蓮見琢馬よりやりたい放題してた虹村形兆を許そうとしてた仗助が許さないわけ無いと思うねん。
蓮見琢馬くんが過去にあった出来事から、秘密主義で人と関わりたくない精神の陰キャじゃなければ…。

TheBookと東方仗助の恩人の過去への結びつきのうまさ

最近クレイジーDの悪霊的失恋ノベライズを見て、仗助の過去の解釈がマジで納得がいかなかった。
基本的にあの小説は嫌いではないけど、あそこだけは気に食わない。
なんでだろうと思ったが、原作の仗助の過去全否定がムカつく以上に、この小説が原因だった事に気づいたのである。

TheBookは蓮見琢馬の人生を全て記録している。
そんな彼があんなハンバーグヘアをガキの頃、5歳で見ていないわけがない。
仗助の恩人でヒーローで父親像の男は「実在」すれば記録されている。

もしTheBookに「記録されていない」のであれば、それはどういうことになるのか。
それは恩人の男が「東方仗助」だったんじゃあないんですかね?という結論になってしまうのである。
バイツァダストが暴走して仗助が過去に戻るとかありそうと4部で一瞬思ったこと。
別のスタンド使いとの戦いで仗助があの時に戻されたという説である。

ただ、ここでそれを結論づけるのはアカン。
4部の原作でもある意味最大の謎なのである。
それをノベライズでやるのはちょっとなぁ!聞いてんのか!おまえに言ってるんだぞクレイジーDの悪霊的失恋ノベライズ!

蓮見琢馬はあくまで戦略として仗助に「恩人」の記録を見せてやる言っただけで、本当に見せる気はなかった。
だが、仗助はそんな琢馬にこう述べる。

「あの人が存在しようがしまいが関係ねえ。あの人の髪型以上にカッコイイものをオレはまだ見つけれてねえからよ」

(引用元:乙一著『“The Book”jojo’s bizarre adventure 4th another day』(集英社))

やっぱり仗助はこうでなくっちゃね!!

ただ、この件について康一が「ジョジョ4部の謎!ネットで騒がれてた件なんだけど、あの恩人仗助くんじゃね?」のメタ発言はいかがなものかと思う。
でも原作でも「第3部完!」が存在するし、まあいいか。

TheBookの虹村億泰が怖すぎるしかっこいい

蓮見琢磨がこの物語の主人公で、仗助がラスボスだとすると、中ボスは虹村億泰である。
ある意味仗助よりヤバかったのは億泰だろこれ。
マジでこの小説の億泰は噛ませ犬なんかじゃあなかった。
億泰、おめえちょっとかっこいいんじゃあねえのかよ。

蓮見琢磨は億泰とタイマンすることになる。
それまでかれは終始冷静で冷徹、主人公のような機転で雑魚どもを圧倒していたのだ。
それがなんですか。この虹村億泰とかいうやつ…マジで恐ろしいわ!!

ザ・ハンドの表現が「宇宙」にまで広がってんのやばすぎる。
TheBookからの解釈がまったく役に立たない。
当たったら終わりが強すぎる。

しかも今回の億泰は、赤点取りまくって究極のバカ扱いされている割に戦闘ではむしろ頭がいい。
いや、経験の差で完全に蓮見琢磨を圧倒していた。

決着も、本棚をぶっ倒したばかりに、散乱した本に紛れてTheBookを開かれたことにより、インフルエンザで敗北という紙一重。
図書館じゃなかったら億泰で終わってたわ。

だが、億泰のかっこいいシーンはこの敗北後に起きる。
Thebookは蓮見琢磨の人生をページを見せることで経験させることができる。
だが、弱点はページを見せないと発動しないところにある。

この弱点を次に戦う仗助は知らないし、インフルエンザでダウンした億泰に伝える手段などないと思っていた。
なんと、億泰は自分の目を潰しておくことで、仗助に「見る」ことでオレはこうなったと讃えたのだ。
ワムウ並の精神力が億泰に…めちゃくちゃだよこの不良。

これは仗助の直す能力への信頼と覚悟なくしてはできない、この小説最高に億泰の…いやこの小説のキャラ全ての中でもかっこいいシーンなのだ!

TheBookの話の構成が小説として完璧すぎる

この小説は語り手が章ごとによってバラバラな構成となっている。
蓮見琢馬だったり、双葉千帆、飛来明里、広瀬康一…バラバラなのである。
それに加えて、飛来明里が語り手のほぼ半分を占めて、しかもこのパートだけ過去なのである。

ここまでバラバラの構成なのに、頭にすっと入ってくる構成は凄まじいと思う。
過去の出来事から現在の蓮見琢磨の行動の由来がだんだん見えてくる構成になっているのである。

最終的には蓮見琢磨は死亡するが、その直後に書かれた過去の出来事の章で蓮見琢磨が誕生する。
地獄にいる母親からは「あなたは希望を持って生きて」という願いを託されていたのに、復讐に生きた蓮見琢磨は、最後に誕生する経緯と同時に死亡してしまい虚無感がすさまじい。

母親の願いは無意味だったようにすら見えてしまう。
しかし、蓮見琢磨は母親の復讐を遂げた。
なんとも言えないような気持ちにさせられるこの小説はやっぱりすごいと思ってしまう。

TheBookの結末は双葉千帆と蓮見琢磨の血統による因縁である

あまりにも切ない気持ちにさせられたが、最後にまさかの展開が待っている。
蓮見琢磨は腹違いの妹に子種を仕込んで死んでいったのだ。
妹の双葉 千帆は父親を殺害した罪で逃亡中、しかも愛する男は死に、兄だという事実も知っている。
しかし、子供を希望と思っている。

これはまさにジョジョのテーマに起因する結末かと思われる。
なんという悲しい一族!なんという数奇な運命!ってやつだ。

ジョジョのテーマの一つ「血統による因縁」を抱えたエンディングを迎えたのである。
飛来明里の願いは蓮見琢磨に叶えられたとは言えないと思われるが、その血統は受け継がれていくってことなんでしょうね。

The Bookの元ネタは聖書だが、テュルプ博士の解剖学講義が起源

The Bookには起源がある。
これは岸辺露伴が作中で言ってた最初の本「聖書」の別名が「the book」という意味ではない。
実は恥ずかしながら最近このことを知った。作中で言ってくれればいいのによぉ!
当然YOASOBIのアルバムでもない。

これはあとがきにも書かれてるけど、The Bookの前に存在するジョジョの小説は3部と5部だけである。
乙一先生はそれが気に食わなかったらしく、4部の小説を書くことに成功した!

2002年に読むジャンプで『ジョジョの奇妙な冒険 テュルプ博士の解剖学講義』の冒頭部分を発表してから5年後に完成したのだ!
The Bookが!全然内容変わってて草ァ!!
加筆・改稿を繰り返すうちに内容が二転三転しまくったらしい。
そのせいか、完成度が高すぎる。
本当に最高のジョジョ小説だよ。

おかげで評価高い、恥知らずのパープルヘイズですらこれには個人的には勝てないと思う。
「VSJOJO」小説も、このThe Bookの完成度がんければ実現しなかったんじゃないかなぁ。
売れる保証も必要だと思うんですよね。

でも、The bookを再度読んで思ったのはやっぱりテュルプ博士の解剖学講義も見たいなあということだぜ。

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