悲鳴伝ネタバレ感想!なれるものならなりたいですね、ヒーローに

Last Updated on 2024年4月18日

「なれるものならなりたいですね、ヒーローに」

 

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自慢じゃあないが、僕がピンチに陥った時の動揺っぷりは半端ない。

上司「オラァ!たおかす!メール出しとけって言っただろーがッ!!」

オレ「ゲェ!部長!!(鼻ほじ)」

もうこうなったら絶望するしかない。
全てが終わりだ。生まれてきてごめんなさい。
まあ俗にいう豆腐メンタルである。

この前、僕の尊敬する美容師さんから小説をもらったのだが、それがどうやら続編であることが判明し、
とりあえず前作である「悲鳴伝」を買ってきた。

この悲鳴伝の主人公空々空(そらからくう)は動揺という文字がない。
正直前述のようにメール出さずに上司にキレられただけで生まれてきてごめんなさい(鼻ほじ)と思ってしまう僕はこの主人公がうらやまし……くない。

何事もやりすぎというものがある。

家族を皆殺しにされても動じない。
自分が通ってる学校ごと同級生を皆殺しにされても動じない。
むしろ今までの人生で自分と関わってきた全ての人間が殺されても動じない。

うむ。頭おかしい。
キティガイである。

何事にも動じない強靭な精神に憧れるけど、基地外にはなりたくないよね。

こんな頭おかしい主人公でこの物語大丈夫か?と思ったら
登場人物がもれなく全員気が狂ってた。

例えばこの小説のヒロイン剣藤犬个(けんどう けんか)は主人公の家族を皆殺しにして
その惨殺現場で再開した。
「再開」っていうのはこの前日に携帯貸したらお礼にキスされたのが初めての出会いである。

いきなり悲惨な目にあうこの主人公がなにをしたのかというと
その性格にあった。何をしても動じない冷めた性格のせいでえらい目にあっとる。

実は人類の敵が「地球」でそれを撲滅する団体がいるらしい。
地球は「大いなる悲鳴」という人類の1/3を悲鳴だけで皆殺しにできる強大な敵で、文字通り地球そのものが敵なんだとか。
そんで地球は人類が大嫌いなので、怪人を送り込んできてる。

その怪人を倒すヒーローにするため、剣藤犬个こと『地球撲滅軍』のコードネーム『寸刻み』『茶飲み話』は空々空をスカウトに来たということから物語は始まる。

ヒーローに弱みはいらないという理由だけで、関係者。親兄弟同級生親友全て皆殺しにされた主人公。
特に悲しんでない。

マジキチ…

もうすでにマジキチだけど、この他の登場人物もみんなマジキチだった。

地球が送り込む怪人こと地球陣は、あまりの神々しさに見ると目が潰れるのだけど
そもそも感情がアレな主人公は見ても平気なのでスカウトされたらしい。
初めて主人公が怪人を殺して帰ってきたら、剣藤さんがペットを連れて帰ってくる。

なんと。

そのペットは。

9歳の女の子だった。
剣藤さんが更にマジキチで頭がさらにぶっ飛んでるってわけじゃななくて、見た目を地球人に偽造できる怪人を創りだそうと実験した「親」に見た目が犬に偽造されてしまうように改造されたらしい。

マジキチすぐる。

その女の子左在存(ひだり ざいぞん)もやっぱりおかしくて
ギャンブル中毒だわ。頭がイイわ。ふてぶてしいんだけど、なにより主人公と逃げ出そうと画策するほどに度胸がある。相手は1日で消費税を3%にしてしまうくらいの巨大組織である。

が、当然逃げてる最中に殺されてしまう。
殺したのは主人公の通ってた中学校を燃やして、剣藤さんの家族を皆殺しにした『火達磨』。

基地外ばっかの組織の中でも基地外として一目置かれる真のマジキチである。
しかも戦闘能力はジョジョ3部のブ男並みである。

そんな火達磨は武器ももたない主人公に再起不能にされるあたりの面白さ。
精神安定剤だけで勝った空々空は文字通り英雄扱い。
とんだ性格のヒーローもいたもんだ状態。

そんな知り合いを皆殺しにされたヒーローなんだけど、実は一人例外が居て…
『火達磨』とおなじくらいの危険人物として親友が生きていた。

『蒟蒻』こと花屋瀟(はなや しょう)
実は、主人公の大親友は地球撲滅軍だった。

そんで

超ヤンデレだった。

実は地球撲滅軍に入れようとしたのは彼女で
家族皆殺しにさせたのも花屋で
世話役の剣藤さんを始末するようにしたのも彼女だった。

理由は『嫉妬』。

すでに片腕をぶった切られた剣藤さんと逃避行?する主人公。
家族皆殺しにしたメンヘラと一緒に逃げて、
家族皆殺しにするように仕向けたヤンデレに追われるヒーローはどんな行動を取るのか!!

「ありがとうございます、剣藤さん」
いろいろ自分の世話をしてくれた剣藤さんに、主人公がお礼を言ったのは最後だけだった…。

…全然地球が敵になってねえwww
こわいのは身内の人間か。

とりあえず、先がまったく予想できなくてすげえ惹きこまれた。
最初のほうなんて、カオスすぎて主人公は動揺してないのにこっちが動揺する違和感とかあって面白かった。

最後に主人公が人間として当然の感情を取り戻す…感動のお話。
( ;∀;) イイハナシダナー

で終わることなんてまったくないのが素晴らしい。
後味が悪い?
だからそれが…

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そもそも章ごとのタイトルが面白い。

ちなみに全8話構成で、それぞれの章タイトルが面白い。

第1話「ヒーロー誕生! 地球の悲鳴が聞こえるか」

第2話「戦え! ぼくらの英雄グロテスク」

第3話「届け必殺! グロテスキック」

第4話「頼れる仲間だ! 狼の血を引く少女」

第5話「炎の戦士! 熱き血潮の燃える魂!」

第6話「幼稚園が危ない! 二人の女剣士」

第7話「さらば友よ! 空を翔けるヒーロー(前編)」

第8話「さらば友よ! 空を翔けるヒーロー(後編)」

何が面白いって、タイトルと中身はあってるんだけど
ノリが全然違うwww

こんなすげえヒーローものっぽいタイトルにしといて中身がとても子供に見せれるヒーロー物じゃないww

「届け必殺! グロテスキック」じゃねーよwwwあんなヒーローのキックがあるかwww
「幼稚園が危ない! 二人の女剣士」って危ないのはオメーら二人の女剣士のせいだからね!!

たぶん、これ一冊で終わる気だったんだろーな。
というわけで、今続編を見てるわけですが。
すでに次の「悲痛伝」は読み終わった。
「悲惨伝」を半分くらい読んだけど。

これはこれで面白いけど、「悲鳴伝」の面白さにはかなわんな。
正直物語シリーズより全然面白かった。

以上です。

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